National Taichung Theater 台中国立歌劇院




建築設計


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世界を一筋の川の流れと例えるならば、建築物とは川面に打たれた木杭のようである。
木杭は水の流れとは何の関連性もない。

私は川の流れのなかに出来る渦のような建築をつくりたいと考えてきた。
即ち、変化する川の流れと関係を保ちつつ、流れとは異なる場所をつくりたいのである。

伊東豊雄



伊東豊雄氏は鉄筋コンクリート造りの建築においても、自由に満ちた、生の豊かさを追い求めています。
人を包み込むような温かさや環境への配慮、台湾における建築の在り方をも問い直すような空間形式、流動体のような建築空間へと変容させています。
伊東氏は「よい建築とは、人々が中で解放され、心地よく過ごすことができる建築である」と言います。
謎めいた洞窟空間は自然の光、柔らかな風、そして水の流れる音と影を引き込み、訪れる人々の快適さを高めます。
劇場、スカイガーデン、シアターショップ、レストランなどといった内と外の空間は虚実のように交差し、一つひとつの場面が永続的な概念によって、
新たなリズムの配列で連なって作用し、まるで生きた建築のようです。
人と共にある建築の在り方を深く再考し、自然環境と共生する建築の美学を目指します。

幾何学的な曲線による造型美を誇るシアター、その構法の極致。

台中国立歌劇院は、建物のなかにある劇場だけがオペラハウスではありません。
建物全体が劇場です。エントランスホールやホワイエはもちろんのこと、レストランや屋上庭園など、
どこにいても音や光や空気の流れを感じることができます。
壮大な宇宙の輝やきを間近に感じることのできる身体全体に訴えかける建築です。

伊東豊雄 Toyo Ito

回歸 本能互動

自然回帰


回帰 本能に働きかける
回帰 人と自然の共生
回帰 生活の根源― 人の心が感応するもの

物語を紡ぎ上げ、軽やかなメロディーに耳を傾け、リズムが体を揺さぶるー未曾有の佇まいで、台中という土地に聳え立つ。

空間原型 ─ 衍生中的網格

空間の雛型 ─派生するネットワーク


台中国立歌劇院は、3次元の曲面を組み合わせた新しい建築構造であり、その連続体は流れるような空間を生み出しています。抽象的な概念を、垂直と水平に連結するチューブ網によって実体化し、シンプルなシステムが互いに織り合い、無機質で固い空間を、柔らかで有機的な空間へと変えています。ネットワーク状の空間コンセプトは、多層な構成をつくりだし、広々とした洞窟を思わせるような劇場空間を形成しています。

曲牆結構體

曲面壁による構造体


当歌劇院は、58枚の曲面壁によって覆われたカテノイド構造です。三次元曲面に配筋された壁の間に、厚み40センチのコンクリートを流し込み、特殊な構法によって継ぎ目のない曲面シェルを形成しています。建築本体の垂直の構造を側面の抗力が支え、そこから幾つもの空間が結び付き、展開しています。

孔洞

気孔


建物の外壁に穿たれた、幾つもの薄いブルーの円形は、「呼吸をする気孔」と呼ばれています。昼間は、孔から差し込む外部の自然光を中で感じることができ、夜になれば、内から灯される明かりが外へ漏れ、その透過光がまた一味違う雰囲気を醸し出してくれます。

智慧型冷輻射地板

床輻射式空調システム


独自の気流調節器と熱を取り除く技術で、アクティブな省エネ運用を可能にしています。在室人数や室内の状態をセンサが検知し、円形の床吹出口から吹き出す空気と床面からの循環によって、日中もムラのない最適な温度を保ちます。夜になれば、換気空調システムが作動し、通気性の良い快適的な空間を演出します。

獨特水幕消防設計

独自のウォーターカーテン式消火設備


水幕を用いた特定防火設備は、複雑な曲面による空間にも対応する設計となっています。火災の初期段階で迅速に熱、炎、煙を遮断し、安全性の高い避難路を確保するとともに、延焼の拡大を防ぎます。